どうしてこの本が売れているのか？
お客さまは、いまどんな読み物を求めているのか? など、
『粕川店長と語り合うSPBSの売れ筋についてのあれやこれや』は、奥渋谷の本屋「SPBS本店」の先月のベストセラーランキングを肴にして、粕川店長にあれやこれやと振り返ってもらう企画です。
今回は、少し趣向を変えて「雑貨」に絞って振り返ってもらいました。SPBSでは一体、どんな雑貨が売れているのでしょうか？
文・写真＝SPBS編集部
1位：Noritake マスキングテープ「GROWN」
──今回は雑貨編ですね。
粕川：はい！ そもそもSPBSが雑貨を取り扱うようになったのは、他の本屋さんも同じだと思いますが、本の売り上げだけでは利益が取れなかったからなんですよね。取り扱い始めてから8年以上経って、当初とは選ぶ基準も変わってきているので、“今のSPBS”はどういう方針で、どんな雑貨をセレクトしているのか、ランクインした商品を見ながらお話できたらと思います。
──それは興味深いです。よろしくお願いします！ ではさっそくですが、1位のイラストレーターNoritakeさんのマスキングテープ「GROWN」からお願いします。
粕川：Noritakeさんのグッズは、どれもすごく人気です。最近は、本の表紙絵や広告など、本当に色々なところでイラストをお見かけしますが、それらの多くがグッズ展開されていて、しかもどれもグッズに合わせて少しずつデザインを変えているんだそうです。このマスキングテープも、私の目では見分けがつかないんですが、もともとの作品の絵からテープのサイズ感に合わせて、ほんの少しデザインが変わっているんだとか……。とにかく、細部へのこだわりが素晴らしいんです！
──Noritakeさんといえば、以前SPBSで開催したトークイベントに出演いただいた時も、グッズについて触れられていましたね。（その際のレポートはこちら）
粕川：はい。イベントレポートにもありますが、 Noritakeさんはクライアントワークで描いた1枚の絵を、国内外たくさんの場所で見られるようにするための手段の1つとして、グッズ展開をしているんだそうです。そういうお仕事の方針がグッズから見て取れるということに、グッときます。そのこともあってSPBSでは、Noritakeさんのグッズを長くたくさん扱っていたり、原画を展示販売していると言ってもいいかもしれません。
SPBSでは、同じ絵柄の「てぬぐい」も扱っているので、
マスキングテープとどこか微妙に違うのか、見比べてみませんか……？（粕川）
──絵柄もシンプルで柔らかいので、男女問わず幅広い世代の方に使っていただきやすそうですね。他にもたくさん種類がある中で、マスキングテープが一番売れているのはどうしてなんでしょう？
粕川：単純に一番新しい商品だということもありますが、汎用性があって使いやすいからだと思います。セロハンテープのようにも使えますし、携帯電話に貼って楽しんでいる方もいらっしゃいますね。店頭のコーナーに貼っているサンプルを見て「カワイイ！」という声もよく聞きます。本当にカワイイので、実物を見てみて欲しいです！
2位：Mauna Kea<マウナケア>靴下
粕川：2位は、すっかりSPBSの定番商品になった<マウナケア>の靴下です。1足1,000円ほどと靴下としてはちょっとお高めなんですが、履き心地が良くてリピーターが続出しています。私も履いていますが、たしかに良いんです！
靴下の産地でもある奈良県広陵町で、
明治時代後期より続く靴下工場で生産されている<マウナケア>。
日本にはほとんど残っていない貴重な編み機でつくられているそうです。（粕川）
──これは気になります……。本屋で靴下を買うって不思議な感じがしますね（笑）。
粕川：たしかにそうですね（笑）。でもこの<マウナケア>の靴下は、自分用だけじゃなく、ギフト需要もすごくあるんです。この靴下を履いてみたい、プレゼントしたい、って思うくらい「出会った感」があるんだと思います。
──なるほど。靴下は何足あっても嬉しいものですし、プレゼントしやすいっていうのもあるかもしれないですよね。
粕川：はい。<マウナケア>の靴下は、デザインもシンプルなのでプレゼントにはピッタリです。以前、クリスマスギフト向けの商材で、もっと高い価格帯の靴下ブランドを並べてみたことがあるんです。当時はそれが爆発的に売れたんですが、1足2,000円ほどと値段が高く常設はできなくて……。探して探して辿り着いたのが、1足1,000円の<マウナケア>の靴下でした。それがいまでは、SPBSの一番の定番商品です。SPBSにいらっしゃる、“毎日使えるけど、ちょっと良いモノ”を求めているお客さまに、きちんと届いた気がします。
3位：たかはしよしこのエジプト塩
粕川：たかはしよしこさんという料理研究家の方がつくっているお塩です。コリアンダーやクミン、ナッツやゴマなどが入っていて、一見塩っぽく見えないので「なんだろう？これ？」って思うんですが、使ってみるとこれがすごいんです！ 普段食べている、野菜、肉、魚はもちろん、スープやチャーハンなんかの料理が「味気ないな」って思ったときに一振りするだけで、魔法のようにおいしくなります。調味料の塩としてもちろん使えますし、スパイスの風味やナッツの食感も味わえるので、楽しい食事になりますよ。これからの季節は、アイスクリームにかけても良いと思います！
自分用とプレゼント用、いくつか買われる方も多いです。
ジップタイプは詰め替え用ですが、お客さまが
「たくさんかけたいときは、大きなスプーンが入るジップタイプの方が便利だよ」
と仰っていたのを聞いて、「たしかに！」と膝を打ちました。（粕川）
──食べてみたい……。
粕川：ぜひ！ 料理が好きな方はもちろん、普段料理をされない方にもオススメです。ふりかけるだけでおいしくなりますので（笑）。
──料理をしない粕川店長の食卓でも大活躍ですね（笑）。
4・5位：<エセルテ>ポケットファイル ／ ナヌークノート
粕川：このポケットファイルは画期的です！ リングで留めたノート式のファイルなんですけど、開いてみると……ほら！ 各ページに半分までのポケットが8個ついていて、従来のクリアファイルよりも書類が取り出しやすいんです。蓋付きのポケットもあるので、細かい紙モノ、たとえば領収書なんかを保管したり幅広い用途で使えます。いくつもプロジェクトを抱えているクリエイターの方にはドンピシャの仕様みたいで、案件ごとに色を変えて使ったり、愛用されている方は多いですね。
──私も使ってます！ SPBSのオフィスでも皆さんよく使ってますよね。
スウェーデンのステーショナリーブランド〈エセルテ〉による、
今までに見たことのないデザイン！
「何これ！すごい！」と声を上げるお客さまをよく見かけます。（粕川）
粕川：価格も540円とお手頃なので、SPBSの文具コーナー史上、一番売れています。
── 一番ですか！？
粕川：はい、一番です！ 仕入れ先の問屋さんは、もともと本屋さんには卸していないところだったんですが、文具担当のアルバイトスタッフが見つけてきて「ここの商品は絶対仕入れたい！」と直談判して、取引をはじめたんです。スタッフが「これはいい！」と思うものを並べて売るのは、当たり前ではあるんですが、ここからヒット商品が生まれるとやはり嬉しいですね。
──こちらの「ナヌークノート」も人気みたいですね。
粕川：はい、出版社のリトルモアさんがつくっているノートです。中糸綴じという製本方法なので、ページがしっかり開いて、書くときに勝手に閉じてしまったりしないんです。なんと職人さんが1冊1冊手づくりしています。
SPBSで取り扱っているのは、無地（540円）と方眼（648円）。
白糸バージョンと、赤糸バージョンがあって、
方眼の線はその糸に合わせて、黒と赤になっています。（粕川）
──出版社がつくっているノートというところが、本屋っぽくていいですね。
粕川：そうなんです。出版社がつくっているというだけあって、本に使用される上質な紙を使っているので、本当に書き心地が良いんです。口で言っても伝わりにくいとは思うんですけど……「すすすすー」とか、「サラサラ～」っていう心地です。さきほどの<マウナケア>の靴下と同じでリピーターさんやまとめ買いする方も多いので、ちょっといい、こだわりのあるモノを使いたいというSPBSのお客さまに届いているんだと思います。
──SPBSは、雑貨も本と同じくらい、「届けたい！」という強い思いを込めて選んでいるんですね。
粕川：本当にその通りです。これからも、売れているから仕入れるという後付けの理由ではなく、スタッフが「これはいいぞ！」と心から思ったものを仕入れ、大切に売っていって、そして、その商品の素晴らしさがお客さまにも伝わったら嬉しいです。
【５月 SPBS ベストセラーRANKING】
１位：Noritake マスキングテープ「GROWN」 540円（税込）
２位：MAUNAKEA 靴下（メンズサイズ、レディスサイズ） 1,080円（税込）
３位：たかはしよしこのエジプト塩（瓶、ジップ） 1,080円 / 1,026円（税込）
４位：エセルテ ポケットファイル 540円（税込）
５位：ナヌークノート（無地、方眼） 540円 / 648円（税込）
