「薄暗い早朝に出勤して、日が暮れたあとに仕事が終わるので、大事な何かが削がれているような気がした」
部長からの突然の言い渡しで、企画チームの席は日当たりが良すぎる1階から殺伐とした地下の部屋に移動することになった。社員の機嫌を取るためか、天井をニセモノの空のように見せるLED照明が設置され、しかし不本意にもそのライトは社員たちの慰めになるのだった。
どうにもならない社会の仕組みに苛立ちながらも、鮮やかな思いつきで日常を価値あるものに仕立てていく。生活の妥協と抵抗と試作を描く表題作「私たちのテラスで、終わりを迎えようとする世界に乾杯」ほか、『フィフティ・ピープル』のチョン・セランがファッション誌や展覧会などに寄稿した掌篇小説を集めた1冊。M
著者:チョン・セラン
翻訳:すんみ
装画:kigimura
装幀:名久井直子
発行:早川書房
発売日:2024年11月7日
四六判/192ページ