「祖父の遺品は、家一軒分の“メキシコ”だった」
画家の伊藤髙義さんが、1965年から2011年に亡くなるまで、80回にもわたり通い続けた国、メキシコ。
その長い旅のなかで集められていたのは、土器や玩具、仮面、民藝品など、暮らしの気配を宿した無数の品々でした。
本書『祖父のあつめたメキシコ』は、孫でありドキュメンタリー監督の和田萌さんが、その膨大な“遺品”と向き合いながら、祖父が何に惹かれ、何を持ち帰ろうとしていたのかを辿っていく一冊です。
単なるコレクションブックではなく、ひとりの人間の偏愛や執着、旅の記憶が、時間を越えて静かに立ち上がってくるような読後感があります。
「集める」という行為そのものが、その人の世界の見方だったのだと気づかされます。
装丁は、『暮しの手帖』などを手がける𠮷田昌平さん。
伊藤髙義さんのスケッチから着想を得た旅の痕跡が、活版印刷によって丁寧に表現されており、手に取ったときの質感まで含めて魅力的な仕上がりです。
誰かの“好き”が積み重なった先にある風景を、そっと覗き込むような一冊です。
著者:和田萌
発行:わたしたちBooks
発売日:2026年6月11日
装丁:吉田昌平(白い立体)
編集:松本知己(T&M Projects)
写真:高橋宗正
A5・コデックス装/352ページ/図版数240点
TAGS: