KISSA BY KISSA

「僕にとってピザトーストは、「儀式」である。そして、「旧友」でもある。わんわん泣きたい気分のとき、ピザトーストはいつも僕を慰めてくれる。　喫茶店の小さな椅子に座り、目の前にピザトーストが届けられる。その瞬間、僕は自分が欲しかったものすべてを手に入れているのだ(という気持ちになる)。」

日本に住むアメリカ人の作家、クレイグ・モドさんの歩き旅の記録。日本の古道を喫茶店のピザトーストを求めてひたすら歩く。彼にとってピザトーストとは、歩いて旅をするということとは。

なくなってゆく日本の喫茶店文化。クレイグさんは訪れた先の常連さんのお話しや、マスターの歩んできた人生に耳を傾け、お店に流れてきた時間や歴史に目を向けます。
クレイグさんの文章、写真、見つめるものには、自分の中で時間をかけたいことは何かと思い返させます。歩いて旅をすることでうまれる自己対話。クレイグさんの真っ直ぐな姿勢に、自分の中の素直な気持ちが突き動かされるような一冊です。